「広い世間」の拡大と地域でのもめごと 3
「みずから治める」という自治は、地域での「共住」のゆえに個人や家庭の「私」生活の領域をこえる各種の問題が生まれてくるものです。
そうした問題の解決を次から次へと役所にもちこむのではなく、住民みずからが日常身辺で話し合いを通じて解決をはかっていくという意味です。
対立や争いが生じると、そうした対立や争いの当事者はお互いに折り合って生活していく知恵と工夫を出し合うのではなく・・・
不信をつのらせ感情的になり妥協のチャンスを失って暴力的な対決になってしまったり、いがみ合いを訴訟合戦へと悪化させたりしてしまいがちです。
今日では旧聞に属しますが、前者の例は「ピアノ殺人事件」(隣の家のピアノの音がうるさいという抗議からはじまってついには隣人を刺し殺したという事件)です。
後者の例は「ドーベルマン訴訟事件」(隣家で飼っているドーベルマンの鳴き声がうるさいと訴えたケース)です。
軒を接して暮していても、「狭い世間」を構成できず、「赤の他人」同士でいがみ合うケースは少なくないのです。
住民は役所に対して日常生活上の切実な要望をもちこみ、役所がその対応に追われるという関係のあり方は、住民がさまざまに自己の利害に固執し、役所にも公平に対処しなければならないという制約がある以上、住民と役所との間に対立を生みやすいものです。